みどころ
第1章ゴールドマン・コレクション
のスターたち
まずはゴールドマン・コレクションの肉筆名品セレクションで、多彩な暁斎の世界をご堪能ください。狩野派で培った本格的な画技に、狂画(当時「戯画」を指して最も一般的に使われた言葉)のユーモアや当代への関心を融合させた暁斎は、肉筆画と版画の両分野で独自の表現世界を切り拓きました。本章では、即興的な筆致が生み出す軽妙な作品から、下絵を重ねて丹念に仕上げた本画までを紹介します。
第2章けもの
暁斎が描く動物たちは、時には愛らしく茶目っ気にあふれ、時にはゾクッとするような野性味を感じさせます。なかでも鴉と蛙は、暁斎のトレードマークともいえる特別な画題。暁斎は猫も好み、多くの作品を残しています。暁斎にとって動物を描くことは、自然界の観察であると同時に、伝統的画題に取り組むことであり、また狂画として当時の人間社会を描く手段ともなっていました。
第3章ひと
暁斎は、同時代の社会や人間の姿に鋭いまなざしを向けました。江戸時代後期から明治時代にかけて大流行した商業的イベントである書画会や、幕末・明治期の海外への高い関心を反映して、外国人を題材とした作品などを描いています。人間の欲や滑稽さを風刺的に描いた狂画表現から、暁斎の人間観が浮かび上がります。
第4章おに
暁斎は好んで様々な鬼を絵にしています。恐ろしさよりも、どこか親しみや愛嬌を感じさせる鬼が多いのが特徴です。酒狂、好色などの「悪癖」は鬼の属性とされ、暁斎は酒好きの自分を鬼の姿に重ねたようです。10歳から11歳まで師事した狩野派絵師・前村洞和から「画鬼」の愛称を得た暁斎は、鬼に対して特別な思いを抱いていたことが作品の随所から感じられます。
第5章かみ・ほとけ
暁斎は、神仏に対して崇敬の念をもちながら、狂画の題材としても自在に描きました。信仰の対象として描いた仏画は、達磨禅師、観音菩薩、文殊菩薩が最も多く確認されています。五月の節句には鍾馗図を多数制作し、人気のある画題でした。狂画として描いた達磨や鍾馗、七福神などは、人間味あふれる世俗的な姿で表現されます。暁斎ならではの「かみ・ほとけ」に対する多面的なまなざしがうかがえます。
第6章版画の名品
暁斎は肉筆画制作を主とする絵師でしたが、浮世絵版画も数多く手がけました。政治的動乱の時代を反映した風刺的浮世絵は、構図や画面にダイナミックな動きがあり、肉筆画を含む暁斎の作品全体に大きな影響を及ぼしました。本章では、摺が早く保存状態に優れた作品や希少作を含む、ゴールドマン・コレクションの版画の名品によって、その精華をご紹介します。
